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【 320形324 】

昭和10年に宝塚線用として製造された全鋼製車。900形を小型にした車輌で写真は能勢電譲渡後の勇姿。現在は1両が 能勢電鉄に保存されている。当時の印象は古い枕木に線路状態も悪くてよく揺れた。ポール時代のままだろうか簡易トロリー からの集電は頻繁にスパークして、その都度車内は瞬時停電を起こしていた。ノッチを上げるとモーターが大きく唸り、電圧降下で車内のグローブ球は とたんに暗くなる。駅に停車し、ドアが開くと放熱によるヒューという音もなく静寂に包まれる。時折トン、トントン、トン…プシューと今にも止まり そうな実にゆっくりとしたリズムでコンプレッサ音が聞こえる。まさに数十年は遡った古き良き時代の阪急電車の風景だったに違いない。
(能勢電鉄・1969年撮影:T.S/解説:T.S)

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