【 最後の砦・呉線 】

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【 糸崎駅で機回しのD51262 】

糸崎13時発の呉線貨物675列車の仕業につくD51262が操車掛の誘導に従って機関区を出区する。途中では1時間近い停車時間を繰り返し、目的地の広駅に着くのは17時40分頃。およそ60Kmを5時間近くかけて進む。まだ宅配便なんてものが無かった時代、チッキと呼ばれた手荷物や小荷物を鉄道輸送に頼っていたが、取り扱い駅ごとに方面別に仕分けて貨車に荷積荷下ろし、更に行先順に編成を組替えながら先へ進む。今の宅配なら割れ物でも安心して任せられるが当時は手鈎で引っ掛け放り投げ、着いたとき中の物は壊れてバラバラが当たり前。しかも一体いつ到着するのかさえ判らない。急ぐ品物は駅留めと言って最寄りの貨物駅まで引取に出向くことになる。それでも決して安くはなかった。高くて遅くて雑と何処かの牛丼屋さんとは正反対。すこぶる評判が悪かったが他に輸送手段はなくそれに頼るしかなかった。
(糸崎駅・1969年3月29日撮影:T.S/解説:T.S)

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